© 2015-2020 by にほんちゃギャラリーおかむら

検索
  • 岡村友章

道具が暮らしの屋台骨。


道具って、大事です。

きょうは常滑市へ行ってきました。

ちょうど morrina で、台湾茶師の浦山尚弥さんと、

作家の水野陽景さんのコラボレーション企画が催されていたので

駆けつけたのです。

morrina (モリーナ)は、よいお店。

日々の暮らしのなかで大切に使うことのできる道具(茶器を中心に)を、

大切に陳列し、大切にスタッフの方が説明してくれます。

なかでも代表の杉江さんは、とっても愛情深い眼差しでもって

急須の説明をしてくださいました。

「もう、常滑の焼きものが好きで好きでたまらんわい」と顔に書いてありました。

そういう人が輝いている店、いいですよね。

今回 morrina では、水野さんの作品のうち蓋椀(がいわん)と、藻がけ急須を

家に連れてかえらせてもらうことにしました。

写真が、その藻がけ急須。

急須を釜で焼くときに、藻をかけておくのだそうです。

これ、ほんとに、素敵な道具です。

飾っておくには勿体ない。毎日、毎日、使いまくろう。そう思えるものです。

末代までずっと継いでいきたいもの。

今後、イベントで呈茶できるときには、連れていこうと思っています。

さてイベントなどでお茶を淹れていると、

「その道具、いいですね」なんて声を掛けてくださる方もいます。

いい道具を見ていると、理屈抜きで「いいな」という感じが沸き上がります。

それ、とても大事な感覚だと思うのです。

一方で巷は、どこの誰が作ったのかわからない、

なんだか心を感じることのない道具であふれかえっています。

そういう道具の、機能性やデザインはさておき。

「ずっと手元に、大切に置いておきたいな」って思えるでしょうか。

「割れたら、まあ安かったし、買いかえれば…」なんて思わないでしょうか。

道具は大事です。

なぜかというと、暮らしを支える屋台骨だからです。

道具をおろそかにすると、暮らしがグラグラします。

一方、道具を大切にすると、なぜだか暮らしに筋が通ったように思えます。

常滑では、不思議とこちらの背筋をシャンと伸ばしてくれる

よき道具たちと出会うことが出来ます。

その確率を挙げるには、ただぼんやりと行くだけでは、だめ。

テーマを決めていくこと。そして、人の話を聞きにいくこと。

これです。

「炊きたてのご飯を、もっとおいしく食べたい」とか、

「寝る前にやさしい番茶を、素朴な湯のみで楽しみたい」とか、そんなのでOK。

そうすると、常滑の焼物の海のなかから、

どうしてだか僕たちの眼前に飛び出してくるやつと出会うことが、出来るような気がします。

道具は大事です。でも、ふと思いました。

お茶を急須で楽しむ人口は減っていると聞きます。

それならば、こうした素晴らしい急須に対する需要だって、減っているに違いありません。

僕たちが年老いたとき、急須をめぐる状況はどうなっているだろうか?

ふと冷たいものが背中をつたってしまいます。

そんなことを現実にはしたくない。僕はやっぱりお茶を暮らしのなかに

とりもどすために、どうにか動き続けなければならないと感じた次第です。

お茶を皆が飲めば、それもちゃんとした道具で、家族の時間を皆がとるようになれば。

常滑はもっともっとおもしろい産地になるに違いありません。

作家の水野さんは、「茶の間っていうけれど、お茶が…」と仰っていました。

皆さんの居間は、茶の間ですか?それとも?