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  • 岡村友章

太陽があるから大丈夫。


こんにちは。

産まれて初めて、静岡県を訪ねてきました。

目的地は、藤枝市「やまに園」。

釜炒り茶の作り手、小柳勉さんに会いに行ってきたのです。

※念のため。冒頭の写真は、僕ですよ! ^^

まずは、やまに園の紹介から。

ここはもともと茶園ではありませんでした。

みかん畑であった圃場が、あるとき干ばつにあって枯れてしまったそうです。

それを茶畑に仕立て直したのが今の姿。

そういえば周囲に、みかん農家が多いような気がしていました。

この茶畑。すごいところにあります。

この、いかにも男子の心をくすぐりそうなマシンは、「モノラック」。

農業用モノレールなんです。

これを使わないと、やまに園の畑には行けません!

ものすごい急こう配でも、年季の入ったモノラックは

どでかい音を立てながら上がることが出来ます。

噂には聞いていましたが、ディズニーランドより楽しかったです。

モノラックで、とんでもない高台にまで上がってきました。

ふだんは、小柳さんとイノシシ以外が上がってくることのない、神聖なる畑。

(イノシシが茶を食べることはありませんが、畑に自生する山芋とか、

秋口には栗を拾いにくるのだそうです)

遠くに見えているのは、新東名高速道路です。

このお茶は、「印度系雑種131号」。通常「印雑131」です。

さわやかな色の新芽がムクリと顔を出していますね。

明治のころ、インドより導入されたお茶から採った実を育て、

そのなかから優れたものを選抜した品種。

特徴は、「早生(わせ)」であることと、ユニークなかおりです。

「早生」とは、収穫適期が早くやってくること。

スーパーにならぶみかんにも、よく「わせ」と書いてありますね。

むかし、藤枝ではこの品種を作る人も多かったそうです。

理由は「早く採れれば高く売れるから」。初物は高いんです。

香味はさておき、と僕は思いますが…

しかし当時から、この品種を「釜炒り茶」として作る人はほとんどいませんでした。

ではどうやって作っていたかというと「蒸し茶」にするのです。

一般的に「お茶」というとイメージするやつ。緑で、細よれの茶葉。

※流通しているお茶のほとんどすべてといっていいくらいの割合で、

 蒸し茶は生産量をリードしています。

しかし、この段階で「印雑131」の本当の個性は引き出されることがありませんでした。

ときは少し進んで、平成。印雑131と、「やぶきた」という品種から

できた新品種「藤かおり」が登場します。

やまに園では、藤かおりを釜炒り茶にしました。

「蒸し」から始まる蒸し茶とは違って「釜で炒る」ことから製茶がスタートします。

しかも、やまに園では「萎凋(いちょう)」という工程を欠かしません。

炒る前に、葉をわざと萎れさせるのです。(お日様の下と、日陰で)

この工程が、お茶の香りを強く発揚させます。

萎凋している最中は、あたり一面がフルーティなかおりに包まれるのですよ。

いま、多くの日本茶はこの工程を省いています。ちょっと残念。

さて、そうして出来上がる藤かおりの釜炒り茶が素晴らしかったので、

「蒸していた印雑131も炒ってみよう」ということになりました。

そしたらやっぱり、印雑も素晴らしかったのです。

やまに園では印雑の面積も増やしつつあります。

子どもである「藤かおり」が最初に見いだされて、

親があとからついてきた形ですね。

※これは飲めばわかる!ということで、4/25-29にかけて「なないろ舎」でも呈茶します。ご期待を!

ちなみに印雑131については、この超マニアックな本に詳しいです。

僕も一冊持ってますので、ご希望なら貸します。

とまあ、いろいろ書きましたが、説明するより

飲んでもらって「おいしいね」って言ってもらいたい。

さて。

先に「萎凋」について書きました。

いま製茶機器メーカーでは、萎凋のためのマシンを開発しているそうです。

たぶん、とても高い。

でも小柳さんには、それは不要です。

なぜなら彼いわく「太陽があるから」。

機械なんか使わなくても、自然に任せれば萎凋は出来るとの信念です。

それだけではありません。

彼によれば、「なんでもかんでも、専用の機械を使わなくたって、いい」。

ある製茶工程のためだけに、専用の機械をいちいち買ったって高いし、

ほかの道具を工夫して使えばまったく問題ないのだそうです。

うーん、カッコイイ。まさしく、なんでもできちゃう農家って感じですよね。

しびれました。「太陽があるから」なんて、はにかんで仰るんですよ!

そういう工夫こそが、その農家独特の個性に繋がるのだと思います。

やまに園では、4月中ごろから、お茶摘みが始まります。

また行きたいなあ。

#藤枝 #釜炒り茶

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