- 岡村友章
手揉みのお茶

久しぶりに、滋賀県の朝宮へ。
「お茶芽Dream朝宮」さんが企画運営しておられる
「朝宮お茶芽大学校」の講座を受けてきました。
内容は「煎茶手揉み体験と淹れ方教室」。
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手揉み…本当に難しいけど、楽しい。
現代のオートメーション化された製茶工程が完成する前までは、
炭火のうえに和紙を敷いた上で手揉みをして、茶を作った時代がありました。
現代では機械化されている工程。
考えてみれば当たり前ですが、手揉みによる製茶が基になっています。
生の葉っぱを蒸し、「芯水(しんみず)」と言われる
内部の水分を揉み込みにより押し出し、徐々に乾燥させてゆく。
この基本は、手揉みでも機械でも、同じ!
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今日はそんな手揉み製茶の後半(揉みきり・でんぐり・こくり)を体験。
講師は朝宮茶の生産者であり、手揉み保存の活動もされている井田龍平さんでした。
会いたかった人でもあり、期せずして目の前にいらっしゃったのでビックリ。
在来で無農薬の茶畑を8反も所有されているんです。在来+無農薬=私の大好物。
(1反は、だいたい1000平米)
いや、在来の話はさておき…それを言い出すと長くなる。
手揉み。
「こうやるんですよ」と井田さんのレクチャー。
…
…
… すいません、無理です!
口承と実践によってしか伝えることの出来ない技術が、彼の手に息づいていました。
めっちゃ、かっこいいですよ。
ここでは詳細を書くことができません。
あの流れを文章化することなど、到底できない。気になる人は検索してみてください。
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確かに「マニュアル」は存在するでしょう。
マニュアルとは、「それを読めば誰でもできるもの」ですよね。
手揉みは、そうではない。
パソコンの操作手順じゃないんです。
血の通った文化そのもので、だからこそ担い手という血脈がないと生きられない。
人が伝えないと、残らない。
手つき、一挙手一投足。
真似できるものではありませんが、考えてみれば昔の田舎の人たちはみなやっていた。
私の徳島生まれの祖父も、滋賀生まれの祖母も、「やってたよ」と平然と言います。
言葉がありません。便利一辺倒の私たちの暮らしとは、一体これ如何に?
…
それで完成したのが、写真のお茶。わたしが揉みました。どうです?
いいカメラなので、それなりに見えるかな(笑)
風味はご愛敬 ^^;
…
さて次に、残った時間を使っての淹れ方教室。
難しいことはありません。
ちょっと冷まして、急がずちゃんと待ち、しっかり注ぎ切る。
朝宮茶の爽やかな飲み口にすうっと乗っかる旨み。
普段、私は個人的な好みの問題であまり旨みを感じる淹れ方を
しないのですが、それでも産地に行くと別です。
そこの人がおいしいって思うやり方で飲みたい。
淹れ方教室の途中、心に残った一言がありました。
湯を急須に注ぎ、みながシーンと浸出を待っていたときのこと。
「そんなにじいっと見つめてたら、お茶が恥ずかしがるよ」。
気張らず、厳密に淹れ方にとらわれず、
一緒にいる人との時間を楽しく過ごそうよ!という心づかい。
お茶は肩肘張らず、楽しく飲むもの。
難しい顔してたって、仕方ないですよね。
お茶芽大学の講座は毎月開催されています。
ぜひウェブサイトやFacebookをチェックしてみて下さい。
おしゃべりで快活な朝宮のおばちゃん達による、ぱっと楽しい活動です。
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一般社団法人 お茶芽Dream朝宮
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そうそう。朝宮といえば私の番茶ラインナップのひとつ、
「いつものばんちゃ(朝宮・春番茶)」を忘れてはなりません。
いつもこれだけをお目当てにいらっしゃる方もいるくらい、
バチっとはまっちゃうと抜けられない、さっぱり系のお茶。
たっぷり仕入れたので、いつもどおり出店のとき用意してお待ちしています。
それでは、きょうはこんなところで。おやすみなさい。