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  • 岡村友章

カフェインと向き合おう 2/2


カフェインについてのお話。

前回はカフェインが体に及ぼす作用と、そのことに気をつけながらお茶を楽しむ

ポイントについて触れました。

でも、お茶やコーヒーの樹がカフェインを持つのは、そもそも人のためではないはず。

それならば、彼らは何のためにカフェインを作り出しているのでしょうか。

英文ですが興味深い記事がありました。この記事はコーヒーの樹を材料に書かれたものなので、

全てが茶の樹の場合でも当てはまるかどうかは不確実です。

ただ、自然界においてカフェインが果たす役割の一端を紹介するものとして

おもしろく読めますので、お時間の許す方はご一読を。

"How Caffeine Evolved to Help Plants Survive and Help People Wake Up"

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以下、雑ではありますが和訳してみました。

『植物の生存と人間の目覚めを助けてきたカフェインの進化』

世界中で、毎秒26,000杯ものコーヒーが飲まれています。その味わいだけを気にする人もいる一方で、ほとんどの人はカフェインを血流のなかに届ける手段としてコーヒーを飲用しています。カフェインは、世界で最もひろく消費されている、向精神作用のある物質なのです。

お茶からカフェインを摂る人も多くいますし、また南アメリカの薬草・マテから抽出したものを飲む人も。カカオの樹もカフェインを含みますので、チョコレートを食べることで少量のカフェインを摂ることになります。

カフェインは薬かもしれませんが、地下組織が作った怪しい代物ではありません。むしろ、カフェインは植物の数百年に及ぶ進化の末にあるものなのです。我々のカフェインに対する渇望にも関わらず、植物がなぜ、そしてどのようにしてカフェインを作り出しているのかは殆ど明らかになっていません。

しかし、新たな研究結果により状況は変わりつつあります。各国の科学者たちによるチームが、コーヒー豆の主な原料であるロブスタコーヒーノキのゲノム配列を解読しその遺伝情報を分析することで、コーヒーの樹がカフェインを作り出すために必要とする生化学的な仕組みを再現することに成功したのです。

Science誌に掲載された論文は、植物がどのようにして動物(および、間接的に人)をコントロールする手段としてカフェインを生成するかについて、光を当てています。

カフェインはまず、キサントシンと呼ばれる化合物として作り出されます。コーヒーの樹は、キサントシンの原子結合を一部分離するための酵素を作り、次に第2の酵素が別な原子クラスターを結合させるため作用します。さらに2種類の酵素が用いられ、2種のクラスターが結合されます。このプロセスが完了し、キサントシンはカフェインとなるのです。

このプロセスは非常に複雑に思われるかもしれませんが、コーヒーのゲノムに関する新たな研究がその進化についての詳細を報告しています。

カフェインを作り出す酵素は、「N-メチルトランスフェラーゼ」と呼ばれる酵素群に属し、あらゆる植物に含まれ多様な化合物の生成に貢献しています。その多くは外敵に対する攻撃手段として役割を果たし、時にこの「武器」が私たち人間にとって有益であることが見いだされることがあるのです。例えばヤナギの樹から発見されたサリチル酸は、のちにアスピリンの基となりました。

カフェインの進化は、N-メチルトランスフェラーゼのゲノム配列が突然変異し、酵素の動態が変化したことに端を発します。植物が変異したゲノムをたまたま複写し、新たなコピーが生み出されました。このコピーがさらに変異を起こし、異なる形態となっていったのです。

進化生物学者であるバッファロー大学のヴィクター・A・アルバート氏と、この研究の共著者たちによれば、この「変異とコピー」の結果たまたま生み出されたものが、酵素共通の先祖の子孫にあたり、それがキサントシンを変容させることになったのです。

 N-メチルトランスフェラーゼの働きにより茶やカカオでもカフェインが生成されることは既に明らかになっていました。しかしコーヒーのゲノム配列を調べることにより、アルバート博士と協力者たちは、コーヒーと異なる種におけるゲノムとの詳細な比較を行うことが出来ました。例えばカカオの樹でカフェイン生成に関わる酵素は、コーヒーの場合とは異なる先祖から進化したことが明らかになっています。

 言い方を変えれば、コーヒーとカカオは、同じ目的地に到達するために異なる進化形態を辿ってきたことになります。この種のプロセスを、進化生物学者は「収束的進化」と呼びます。

 鳥とコウモリを例にとってみましょう。150万年、鳥は指の骨を結合させ、羽を生やしたことで「翼」を進化させました。一方で60万年前に、コウモリは指を伸ばして膜で覆うことで「翼」を獲得したのです。

 収束的進化が数度起こり複合的な特性を生み出す場合、それは環境に対する強力な適応のサインであると考えられます。コーヒーの樹による実験の結果、なぜカフェインが生み出されてきたのかが明らかになりつつあります。

 つまり、コーヒーの葉が枯れ地面に落ちると土壌がカフェインにより「汚染」され、他の植物は芽吹くことが困難になるのです。このように、コーヒーは競争を勝ち抜くためカフェインを利用してきた可能性があります。

 また、コーヒーは自身の葉や豆を狙う虫を撃退するためにも、カフェインを利用しています。高濃度のカフェインは虫にとって毒性を示すため、虫はカフェイン摂取を避けるために味覚を進化させました。

 しかしコーヒーや他の多くの植物は、蜜を低濃度のカフェインで「味付け」することによって、様々な利益を得ていると考えられています。

 植物は虫や動物の餌となる蜜を作り出すことで花粉を拡散させます。虫はカフェイン風味の蜜を食べると、嬉しそうにぶんぶんと鳴り、その花の香りをよく記憶します。カフェインで強調された記憶により、虫はその花を再訪し、より遠くまで花粉を運んでくれやすくなるのです。

 テキサス大学の神経生物学者、ジュリー・A・マスタード氏は「1種類の分子が、ネガティブな作用とポジティブな作用のいずれをも起こす。とてもクールなことだと思います」といいます。

 人にとっても、過剰だと毒になり適切なら脳の働きを高める。カフェインを生み出す植物が私たちに与える影響は、生物学における偶然の一致なのかもしれません。

最後に、マスタード博士の言葉をー「人はすべて、植物に操られているのです」。

#お茶の成分