- 岡村友章
発酵番茶の品種が変わります

幅広い世代の方に気に入っていただいている「いつものばんちゃ(発酵番茶)」。
間もなく、このお茶の取り扱い品種が変更となります。
これまでは2016年産の在来種でしたが、当面は2016年産の「さやまかおり」種。
テイスティングしたところ、特徴が異なります。
在来種はあっさりとした中にも腰の座った落ち着きがあり、老練な風格を帯びていました。
さやまかおり種は、在来種と比べてとても爽やかで若い印象です。
在来種について補足です。在来種とは、お茶の場合には種から育ったものをいいます。
人間による品種操作が一切加えられていないもの(野生を含む)と、品種茶から採取した種から育つものの二通りがあります。同じ親から採った種でもひとつひとつ遺伝形質は異なるため、在来種の畑は一般的に表情の違う茶の樹が並んでいます。
そうそう、「2016年産?どうして?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
これには理由があります。
生産者の羽間さんは、お茶だけでなく米や野菜もつくっておられ、農薬と肥料を一切使用しません。
一般的にお茶は年に何度か茶葉を収穫するため、茶の体力を補うため肥料を施します。(化学肥料は即効性があり、有機質肥料は微生物による分解を待たねばならないため、ゆっくりと効きます)

羽間さんの場合は外から養分を補うということなしに、自然栽培というスタイルで作物をつくるため、多収は望めません。そのぶん、素朴で飽きがこず、毎日飲んでも嫌にならないようなすっきりとしたお茶ができるのです。
毎年毎年同じように茶葉を刈ってしまうと、茶樹の体力を奪ってしまいます。
そのため2016年に発酵番茶を製造してから、17年・18年はおやすみなのです。
当店では在来種を取り扱わせて頂いていましたが、その在庫が尽き、残った「さやまかおり」種に切り替えることにした…という次第です。
在来種は19年に製造される予定なのでお楽しみに、と羽間さんから聞いています。
「ないものはない」。これは私が運営に携わっている「みなせ野オーガニックマーケット」で交流がある、島根県隠岐郡海士町(あまちょう)のスローガン。
「ないものはない。なくてよい」という意味と「ないものはない。大事なことはすべてがここにある」という意味を現しているといいます。
大量にお茶を扱うブランドの場合だと、「ないものはない」とは言いにくいのかもしれません。年間を通じて、お客さんの求めに応じられるようお茶のブレンドを行い、ブランド独自の味わいと年間の安定した供給を確保。
それもおもしろいことだと思います。私にはブレンドの技がありませんので、それができる方は素直にスゴイと思っています。
一方で、私にできることは、「ないものはない」と胸を張って言うこと。
なぜならお茶は有限の農産物だからです。考えてみれば当たり前なのですが、
スーパーなどに並ぶ野菜たちを見ているとその感覚は麻痺しますし、私も子どものころは
野菜の旬を知らずに過ごしました。
羽間さんの在来種、それも2016年のビンテージは、もう殆どありません。
ないものは、ないのです。
かわりにさやまかおりという品種のお茶と出会いました。
今あるものを愛でて、それをおいしくいただくこと。
もうないものを懐かしみ、おいしかったねと思い出すこと。
それもまた、食を考えるにあたり大切なことだろうと考えています。
みなさん、今日は誰と何を食べるのでしょうか。
そのときの話題のひとつに、こんなのはどうでしょう。
「2年前って、何をしていたかな?」
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いつものばんちゃ(発酵番茶)
奈良県 都祁南之庄町 羽間一登さん作
2016年産 さやまかおり種 無農薬 無肥料
700円 50g
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そのほかの地域へは郵送いたします(送料別途)。