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  • 岡村友章

シングルオリジンという甘えについて


※画像はDongreeさんのFBページから拝借

こんにちは。

昨日は、Dongree さんが主宰するイベント「Dongree Special Food Market」に出店させていただきました。

イベントは開始からかなりの盛況で、「よい食べ物・飲み物」の軸を自分なりに持っておられるご様子のお客様が多数お越しに。

日本茶にもたくさんの方が関心を寄せて下さり、「これなら、日本茶はまだまだ大丈夫だ!」と胸をはって言える一日となりました。ドタバタした一日でしたが、おひとりおひとりとしっかりお話をすることも出来ました。その点で本当によかったと思います。

Dongreeの柴崎さん、そしてイベントを支えてくださった多数のボランティアのみなさん、それから多様なお話を聞かせてくださった出店者のみなさんにお礼を言いたいと思います。もちろん、お客様の皆さんにも。本当にありがとうございました。

さて本題はここからです。

自分は「シングルオリジン」に甘えていないか、という話です。

今回、自分の扱っているお茶がシングルオリジンであることをいつもより前に出して販売しました。

そもそも、読者の皆様はシングルオリジン(single origin)ってご存知でしょうか。

コーヒーにおいて、近年よく聞かれる言葉なのではないかと思います。

特定の地域、製造方法など対象を限定したものを指して、このように呼びます。

とりわけ農園まで絞ったものをシングルエステートということもあるそうです。

ですので、私の場合はむしろ単一生産者に絞ったお茶を扱っていますので、シングルエステートと呼ぶほうが正しいのかもしれません。ともかく言葉尻に囚われず、ここではシングルオリジンという言い方に統一したいと思います。

シングルオリジンという言葉は、たいへん便利です。聞こえがいいから。

「よそのとブレンドしないんですよ。生産者を限定しているんですよ。」そのように言ってしまえば…「へえ、こだわってるんだな。なんとなくよさそうだな」って、思えてしまいます。なんとなく、です。

しかし本当にそれでいいのでしょうか。お茶は飲み物です。飲んでおいしいなと思えて、はじめて評価してもらえるはずです。私は自身の生い立ちなどの理由から、たまたま今でいうシングルオリジンのお茶を扱うようになりましたが、販売する側としては様々なことを頭に入れておかなければなりません。

例えば、わたしは釜炒り緑茶を8種扱っています。

これらは同じ煎茶であっても驚くほどキャラクターが異なり、その理由は様々です。品種、肥培管理、摘み方、生葉の管理、炒り方、火入れの強弱など…

例えば船本さんのお茶がどうしておいしいのかを説明するには、もちろんまずは飲んでいただくことが一番なのですが、販売する私にとっては「船本さん以外」の存在がとても重要です。

釜炒り緑茶のマトリックスをより広く持って、さらには釜炒り茶以外のお茶の特徴も比較対象とすることで、より正確にお話をすることができます。この点は、まだまだ経験値を重ね続けなければいけないなと日々痛感するところでもあります。

「香ばしい」というのはとても簡単ですが、釜炒り茶は基本的にどれも香ばしいので、なぜ船本さんのお茶をもってして特に香ばしいというのか、理由がなければなりません。

シングルオリジンならではの良さである、「農家の話」ができることはひとつの魅力だと思います。味わってもらいながら、お茶だけでなく作り手の人となりやお住まいの環境など、いろいろなことをお伝えすることが出来るのです。とりわけ、農家さんのことを知りたいと思っておられるお客さまは非常に多く、私のような生産者ではない小売り事業者にとってはとっても大切な仕事となるでしょう。作り手・生産者の心をもってお話し、しかし売り手として複数の生産者をまたがったフラットな目線も同時にもたなければいけません。大変ですが、楽しいことでもあります。

さていろいろ言いましたが…当然、シングルオリジンならおいしいという訳ではありません。その特性を感覚と経験でブレンドする茶商・職人たちが日本茶を支えてきたことも、忘れてはなりません。

だからこそ、シングルオリジンにわざわざこだわって販売している理由を確固としたものにしておかなければ、私の仕事は足元から崩れてしまいます。

聞こえのいい「シングルオリジンですよ」という言葉で盲目的になることなく、その先をいつも考えながらお茶と向き合わなければと思っています。


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