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  • 岡村友章

古樹番茶


「古樹番茶」の限定販売(99袋)をいよいよ開始しました。

昨年の秋に、京都市のmumokutekiさん店頭にて山形蓮さんと一緒に試飲販売会を行って以来、はじめてパッケージ化してラインナップに加わりました。

古樹番茶のことを今回はお話しましょう。

このお茶は、滋賀県 東近江市 政所の茶樹を使って作られました。政所は茶の栽培が600年続いている非常に古い産地のひとつに数えられ、その品質は古くから名の知れたものでした。ただし現在は、高齢化と過疎化の進行に悩んでいる土地でもあります。

政所で主に作られているのは、新芽を摘んでつくる「蒸し製煎茶」と、硬い葉が原料の「平番茶」です。いずれもほとんど全てが無農薬・有機栽培・在来種。

「古樹番茶」は、煎茶とも平番茶とも異なるお茶です。いったいどんなものなのでしょうか?これからご紹介します。

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政所は「奥永源寺」というエリア名でも知られており、今では道路脇にある廃校を利用した道の駅が人気のスポットとなっています。

参考「道の駅 奥永源寺 渓流の里

実はこの道の駅が整備される前、現在は駐車場である場所に茶畑がありました。その時点ですでに長いあいだ放棄されていた茶畑で、樹齢は5,60年はゆうに達していたそうです。これを伐採する必要がありました。

伐採した茶の古樹。地表面から上に出ている部分すべてを利用して、みごと番茶に生まれ変わらせたのが、この古樹番茶というわけです。

製造にあたっては、当店でも取り扱いのある三年番茶の製法にならっています。

茶を葉と軸にわけて、それぞれ細かくカット。別々に薪火でじっくりと火をいれます。カフェインはほとんど含まず、身体の奥からぽかぽかと温まってくる養生のお茶。赤ちゃんだってがぶがぶ飲めてしまいます。もちろん、放棄茶園だから農薬も肥料も長年なし。

実はこのお茶が製造されたのは、4年前。以後、山形さんのもとで世に登場するタイミングをじっと待っていたのです。

縁あって、山形さんのもとからその多くを私が預からせて頂けることになりました。

パッケージ化するにあたって、いつもと少し趣向を変えてみたいなという思いがありました。そんなとき、出店先の「オーガニックマーケット in しが」でお友達になった北岡七夏(きたおか ななつ)さんが、ご自身のFacebookで紹介していた木版画が目にとまります。

※Facebookのタイムライン上からお借りしています

まず「古樹」というキーワードと「木版」がイメージ上でぴったり重なったうえに、北岡さんの版画に登場する人、動物、草木がいずれも何かを達観したかのような、かつ温かな視線を持っていることがとても好きになりました。

まるで政所で、悠久のときをずっと見守ってきたお茶の樹の姿勢みたいだ。と、ストンと腑に落ちる感覚があったのです。

パッケージをお願いしよう!と思ってからは早かったです。ご依頼して快諾くださったものの、まずは何としても政所を感じてほしかったので、一緒になって昨年の秋に政所へ出かけてゆきました。

そこで山形さんの茶畑に入り、ちょうど咲いていた茶の花を皆で見つめ、土地のおいしいごはんをいただきました。

ほどなくして七夏さんから届いた原案には、政所の茶樹、茶の花、茶の実、茶壷、茶摘み籠がしっかりと刻まれていました。あのとき一緒に政所でみたものばかり。

木版に使用されたのは、山形さんが現在住まう築100年超えの民家を改修したときにでた木材です。

期待したとおりの素晴らしい木版が完成して、茶袋ひとつひとつにお友達みんなが集まって刷り込んでくださったものが数日前に届きました。どれひとつとして同じものはない、たったひとつのお茶袋が100枚ほど。

ここに、古樹番茶の茶と枝部分を「3:7」の比率でブレンドしたものを封入して、とうとう古樹番茶が出来上がりました。

いつもひとりで作るパッケージ。自分だけでは絶対にできないすてきな品物ができて、誰よりも私が本当にうれしくて、うれしくて。

本日1月26日から古樹番茶は販売ラインナップに加わりました。100g いりで1,500円。限定99袋で終了となります。このお茶はやかんでじっくり煎じて飲んでください。

このお茶の生えていた場所は、今やコンクリートで舗装された道の駅の駐車場です。同じものはもう二度とつくることが出来ません。

あなたの目の前で、お茶の命は最期の輝きをみせてくれます。一口いただくとき、一体何を感じてくださるでしょうか?それは人によって違うかもしれませんね。

語らずして、古樹番茶が私たちに訴えかけてくるメッセージ。どうぞつかみとってくださいね。

P,S,

北岡さんが自主制作・配布しているフリーペーパー「ナナイロつーしん」もあわせて読んでみてくださいね。大津の三井寺でほぼ毎月第3日曜に開催している「オーガニックマーケット in しが」に来ていただければ、出会うことができると思います。とっても話題豊富でおもしろいフリーペーパーです。私もお陰様で、ブレイディみかこさんや藤原辰史さんといった方々の著作に、読書の幅を広げることが出来ました。


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