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  • 岡村友章

茶園の傾き


おはようございます。

知らなくても特段の損はない「茶関係資料」の読み解きを、今朝もやってみたいと思います。お付き合いください。

今日もペラペラと冊子をめくっていると、どうしてこんな統計が…と思ったのがこちら ↓

「茶園の傾斜度面積」

0~5度、5~10度、10~15度、15度以上の4階級(?)に分かれた、都道府県別の茶園面積表です。

4階級で最も多いのは0~5度で、傾きが大きくなるほど面積割合は小さくなります。

平らな場所であれば大規模な経営がやりやすくなります。

たとえばお茶の摘み取り。かつては手摘みやハサミによる手作業が当たり前だった茶摘みも、今では機械によるものが圧倒的主流です。

私が取引先でよく見かけるのは、2人で運ぶ大型のバリカンのような「可搬型摘採機」です。

↑ 嬉野の太田さんのお茶摘み。青シャツが太田さんで、後ろ歩きしなければなりません。ご覧のようにスグ横には大きな落差があり、危険な環境で作業しなければならないことも。大きな袋のなかに、刈った後風圧で飛んだ茶葉がたまります。

また、お茶の畝の上をずんずん進んでいく車のような大型の機械もあります。これは「乗用型摘採機」といい、斜面では使えません。転倒する事故の話も耳にしたことがあります。

↑ こちらも同じ日の太田さん。ひとつの畝の摘み取りにかかる時間が圧倒的に短く済み、しかも「可搬型」なら2~3人でやる作業も、その多くをひとりで出来ます。デメリットは、この機械の重量により土が踏み固められてしまうことと言われています。

さて、斜面の話に戻りましょう。

茶園の面積は別にすれば、「平地の割合が高い都道府県」と「傾いている都道府県」に分かれます。

先日、都道府県別の茶園面積は「1. 静岡 2. 鹿児島 3. 三重」だとご紹介しました。この3県だけで国内の70%ですが、残念ながら、なぜだかこの3県の「傾き」については統計がありませんでした。とはいえ、産出額の大きさからして、経営の大規模化とあわせて乗用型摘採機の導入はより進んでいそうです。産地の面積、傾斜度別の面積、そして乗用型摘採機の導入台数はそれぞれ別な統計があるので、がんばって照らし合わせれば「平地だと乗用型の導入が多い」かどうか確かめられるのですが、今日のところはその体力もないので別な機会に。

京都府はどうでしょうか?

最も多いのは 5~10度の面積で、全体の6割超。15度以上は1割もありません。

埼玉は特徴的です。

0~5度の面積が約89%で、作業のしやすい茶畑づくりが意識されていることが伺い知れますね。

反対の特徴を持つのは四国。

徳島は統計がありませんが、愛媛は50%弱、高知は40%強が15度以上の茶畑!香川県は10~15度の畑が全体の約半分。多くの都道府県で、傾きの比較的小さい茶畑が多いのですが、山間部面積の大きい四国ならではかな…という様子が想像されますね。実際、私が扱っている徳島県上勝町の阿波晩茶は、かなりきびしい斜面に茶樹が植わっており、手摘みが当たり前という状況です。

↑ 阿波晩茶の手摘み。わかりにくいかもしれませんが、かなり険しい傾斜に茶樹が生えています。15度どころではありません。

以上、ひとくちに「お茶摘み」といっても、傾斜によって人の作業も大きく制限を受けることをご紹介しました。

資料読み解きシリーズは、今後も続きます…


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