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  • 岡村友章

対馬紅茶 製造リポート


昨年12月にはじめて訪ねた長崎県対馬市。

5か月ぶりに再訪して、今年の一番茶でつくる紅茶づくりを(役に立ってないけど)ちょっとだけお手伝いしてきました。摘んでほぼ仕上がるところまでご一緒しました。

大石裕二朗さんとご両親のお世話になり3日間の滞在です。

「対馬紅茶」をご愛飲いただいている方も、それから紅茶のことに興味のある方も、紅茶ができるまでをざっと追ってみたいと思いますのでどうぞご覧くださいね。

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対馬はご存知のように離島です。大阪からだと、まずは福岡まで飛行機で行き、それから博多港で高速船に乗り換えます。かつては伊丹空港と対馬空港が結ばれていたようですが、現在はその便がないのです。

今回、博多からBEATLEという高速船に乗り、対馬の北側の玄関口である「比田勝(ひたかつ)」という港へ向かいました。この船はそのまま韓国へ向かう国際便でもあり、博多⇔対馬の国内便と混乗することができるようになっています。ですので船内には韓国人のお客さんもいっぱい。ただし国際線と国内線は、室内で厳格に仕切られています。

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博多で船を待つ間、待合室に赤い服をお召しの、ちょうど私の母親と同じくらいかなあという感じの女性がいるのになんとなく気が付いていました。その方のおかげで直後の旅をすることになるとは、このときは思いもよらず…

この方は門内智子さんと仰る、熊本県山都町で釜炒り茶と紅茶をつくっておられる方なのでした。今回の旅をご一緒することになります。詳しくは次の記事で。

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さて夕方に対馬へ到着しました。大石さんが出迎えに来てくださり、ちょっとした対馬北部の名所ツアー!

太平洋戦争のときに建設されるも、ついに使用されることはなく米軍によって解体を命じられた砲台跡を訪ねました。国境の島という地理的な条件ゆえこのような砲台跡が対馬にはたくさん残っています。

韓国を臨む展望所へも。対馬は九州本土より朝鮮半島のほうが直線距離で近いために、夜になれば釜山の明かりを見ることができます。

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この日の夜は、大石さんのご友人でもある福山さんが経営する比田勝のゲストハウス「つしまホワイトハウス」で頂くことになりました。

このときとても嬉しかったのは、この日のゲストだった韓国からのお客さんと一緒に夕食を楽しめたこと。韓国外での長い暮らしを経て最近になって韓国へ戻ったという彼女(たぶん同世代)の国際感覚でいっぱいのお話はとても興味深く、何より前回の対馬訪問の際には多くの韓国人旅行客を目にしながらも結局お話をする機会はあまりなかったから、とても嬉しく思ったのです。

そんなこんなで夜も暮れてゆき、いよいよ翌日から紅茶づくりがはじまります。

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大石さんのところで紅茶になるのは、「べにふうき」という品種茶。

すでに10年以上も、殺虫剤や除草剤等の農薬は一切使用していません。朝方に茶園を見てみると、いたるところで蜘蛛の巣が朝露にきらめいているのを見ることができます。

茶園というもの自体が「自然」とは違っているのかもしれませんが、それでもそこに生き物が暮らしており独特の生態系を保っているようです。

お茶は機械摘みと手摘みを組み合わせてとります。

今回は、地域のみなさんと一緒に手摘みしました。

摘んだそばから、茶葉からは青りんごを思わせる爽やかな香りがしてきます。お茶摘みをした者だけのぜいたくと言ってもいいかもしれません。

摘んだお茶は、工場に運んで「萎凋(いちょう)」とよばれる工程に。

大石さんのところの場合は、ネットの上に茶葉を薄く広げ、下から風を送り込んで風通しをよくしています。途中、撹拌してムラがないようにする工夫も。

この間に茶葉は徐々に水分を失って萎れていきます。同時に茶葉の酸化酵素が働き、少しずつ発酵が進み、香りを生み出します。(いわゆる、微生物による発酵 fermentation ではありません)

昔の日本茶は現在のように効率的に摘んで製造をすることは出来なかったために、緑茶であっても萎凋が自然と施されたものがふつうでした。

萎凋には、香りを発揚させるだけではなく、萎れさせることで茶葉をしなやかにして揉みやすくする意味もあります。たとえば熊本県八代市の船本さんも、つくるのは紅茶ではなく釜炒り緑茶ですが、揉みやすくするために萎凋を意識的に行っています。

萎凋したお茶は、揉捻機(じゅうねんき)に。

重量をかけながら胴が時計回りに回転することでだんだんと茶葉が撚れていきます。

揉捻機に投入する茶葉の量は多すぎても少なすぎてもいけないため、手摘みの場合には全体でどれくらい摘むかうまく調整しないといけません。

この工程では加熱がありません。

揉捻を終えた茶葉です。まだ全く乾いていませんが、形は出来上がりの紅茶に近くなりましたね。

揉捻により組織が傷つけられた状態になっています。こうすることで、茶葉のポリフェノールが酸化酵素の働きで酸素と結合すること(=発酵)を促進します。

発酵を促進するために、それ専用のスペースを用意して加温します。(気温が低いと発酵がなかなか進まない)

このようにだんだんと茶葉が褐色に色づいていきます。茶葉の温度を測り、発酵度合いの目安としながら、ほかのロットの製造を進めます。お茶は、いろいろなことを同時に気にしながらつくらないといけませんので、段取りがとっても大切…

加熱して酵素の働きを止め、発酵を終えるために乾燥機へ。

プロパンガスによる熱風乾燥です。

乾燥から取り出したところ。

ここから半年ほど寝かせ、風味が落ち着いたところで出荷されます。

対馬紅茶は、茶葉の摘み取りからおよそ1日ほどかけてようやく仕上がります。

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今回の旅では、大石さんのご自宅でお母さんの手料理もいただきました。

実はこれがお茶旅の楽しみで…九州はどこへ行ってもご家庭のごはんがすばらしくおいしくて、いつもより5割くらいたくさん食べてしまいます。

旅をご一緒した熊本県山都町の門内智子さんともたくさんお話をする機会に恵まれて、彼女がつくっておられる釜炒り茶と紅茶にもむくむくと興味がわいて…気が付いたら訪問のアポをとっていました。

そういう訳で、対馬から帰着したあと大阪での催事を済ませて、また九州へ飛ぶことになったのでした。

次の記事では、その旅のことをお話したいと思います。

でもちょっと寝ないと… zzz


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