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  • 岡村友章

ごはんがおいしい!船本さんの無農薬釜炒り茶。2/2


前回のお話では、船本さんが手がける「青柳製釜炒り茶」についてお伝えしました。

あらためてご紹介しますと、彼のつくる釜炒り緑茶には2つのタイプがあります。

ひとつは、「青柳製釜炒り茶」。

カネコ式炒り葉機(丸釜)という、回分式の古い機械を最初に用いる昔ながらのお茶です。

↓大きな中華鍋のような、いで立ちですね。

300度以上の高温で葉の酸化酵素を失活させます。

生葉を投入し、炒り葉が終われば全量を取り出し、また次の葉を。(回分式)

もうひとつが今日ご紹介する、「森式連続炒り葉機」を用いた釜炒り茶です。

次々と生葉が送られ、下部にある円筒のなかで熱せられ排出する仕組み。

断続的に工程が続くので「連続式」と呼びます。

丸釜との違いは、仕上がりの香味と製茶効率。

このことについて、「渕之上康元・渕之上弘子著『日本茶全書 生産から賞味まで』農文協、1999年」によくまとめられているので、次のように引用します。(p.176)

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(下線は岡村による)

連続式炒り葉機は現在120kg、200kg用などが用いられ、生葉の一時間当たり投入量はその半分から6,7割程度に止まるが、手炒り釜に比べると、一日当たりでは約10倍強の生葉を処理できて、能率向上は著しい。その半面、改善されたとはいえ、この炒り葉機を用いると、旧来の釜炒り茶独特の香味が、かなり蒸し製に近づいたものになり、これは大きな問題点とみなされる。

工場がこの連続式炒り葉機を使用するようになって、釜炒り茶の品評会などの審査基準も変わってきているようであるが、この炒り葉機の使用以後に後継者として育った人々は、旧来の釜炒り茶との品質的な品質的な差をあまり痛感していない。長老たちは、旧来の釜炒り茶の香味を伝えるべく折々手炒り釜を用いた製法を青年たちに研修し、香味をおぼえさせようと努めているが、今後さらに機械改善を伴わない限り、旧来の香味の釜炒り茶を消費者が自由に購入、飲用することは難しくなってきている。

現状では旧来の品質にこだわれば、釜炒り茶製造工場の経営は成り立たないのである。品質保持と生産能率とのギャップは、釜炒り茶生産工場の今後の課題である。

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たしかに船本さんも「(連続式である)森式では、ほんとの味が出ない」といいますが、連続式を使う生産者が旧来の茶との品質の差をあまり感じていないという指摘には疑問をおぼえます。たとえば芦北町の梶原さんは、船本さんの青柳製について「あれは、くせになるね」と言っていますし、何より生産性の問題から取り組みたくても出来ない場合が多いのではないかと思います。佐賀の嬉野では、昔ながらの「嬉野製釜炒り茶」が見直されつつあるという明るいニュースも聞きます。

ただ、農家1軒あたりの管理する茶園は、年々増加しているといいます。

高齢化・茶園放棄・機械大型化により、地域の比較的若い担い手が、

代わって広く耕作することがあるのも一因です。

現状と、昔ながらの釜炒り茶の生産・経営には、そもそも構造的な問題があるのです。

どうしたらいいだろう?と、いつも考えています。

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ちょっと話が逸れてしまいました。

まるで連続式炒り葉機を使うお茶が、さほどおいしくないかのように読めてしまいますね。

でもご安心を。

船本さんのも、また梶原さんのも(同じく連続式炒り葉機でつくる)、

それぞれに特徴を備えたおいしいお茶です。だからこそ私も取り扱いをさせて頂いています。

同じ「釜炒り」という枠の中で無理に比較し、差異についてあれこれ議論しても、

すでに丸釜で炒る製法が壊滅的である現状を憂うばかりで何の明るみも見えてきません。

だから私はまず「釜炒りってお茶があってね」という、根っこの話をきっちり

伝えることが大切と思っています。

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さて、船本さんのお茶に戻りましょう。

連続式炒り葉機から排出された茶葉は、「青柳製」と同様に揉捻機に移されます。

重みをかけながら回転し、水分を均質に絞り出します。

ちなみにこの工程は煎茶でも同じ。

次に、中揉機(チュウジュウキ)へ。

中に回転する揉み手がついていて、さらに熱風を送り込む仕組み。

揉みこみながら乾燥を進めます。

乾燥の勢いが早すぎると、内部の乾燥が不十分なのに表面だけ乾く「上がわき」という

状態を招き、品質を落としてしまいます。

(例えとしては変ですが…中途半端に絞って放置した雑巾は、表面だけカピっと乾いていても

ほどいてみると湿っていて嫌な感じですよね。お茶の場合、水分をきっちり除いてあげないと、

長期保存ができず変質のもとになります)

次に、再乾の工程。

写真がなくて申し訳ないのですが…中揉機とは違って揉み手がありません。

熱風を送り込み回転するのは同じ。

お茶が中でどんどん回るので、自身の重さで揉みこみが進みます。

↓さらに、水乾の工程へ。

今度は直火による乾燥工程です。(揉み手はありません)

さあ乾燥工程はまだ続きますよ。実はここで、丸釜の登場です。

プロパンガスの直火で、じっくりと乾燥させます。

昔ながらのお茶に似た釜炒り茶独特の「釜香(かまか)」を生み出します。

(ここまでお読みいただきお気づきかと思いますが、

炒ったあとはとにかく上手に乾燥させることが決め手なのです。)

選別や振るいわけ等を経て、完成。

青柳製には、例えるなら「知らない土地なのに、どこか懐かしくて素朴」というような

田舎風景の心象と重なる独特の香ばしさがあります。

こちらの釜炒り茶は、どちらかというと煎茶に少し近づいた味わいを含みます。

でも煎茶よりずっと香ばしくて、さっぱりした印象。

煎を進めたとき、煎茶だと突然渋みが強くなることがありますが、

そういうことがありません。バランスを大きく崩さないまま、何煎もすっきり楽しめるのが特徴。

お湯を冷ます必要もありません。90度の熱湯で大丈夫。

これで、贅沢なお茶づけをしたいな~といつも思っていますが、実現していません ^^;

煮物、漬物、焼き魚、味噌汁。和食とあまりにも相性がよく、ついついコレを淹れてしまいます。

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今日は、こんなところで。

船本さんのお茶。おいしいです。

毎年かならず訪ねて、この一家のことをお伝えしたいと思っています。

九州も、格安航空があるので近くなりました。

乞うご期待!

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船本さんのお茶はこちらからお求めください。

 森式連続炒り葉機を使った 『かまいりじまん 黄』 ¥700 / 50g 無農薬・機械刈り

 カネコ式炒り葉機を使った 『青柳製釜炒り茶』 ¥2,000 / 50g 無農薬・機械刈り

ご注文はFacebookInstagramのダイレクトメッセージ / E-mail / BASEオンラインストアから。

島本町・大山崎町なら無料配達です。

#泉町船本さん #釜炒り茶

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