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  • 岡村 友章

政所訪問リポート。


こんにちは。今日は、山形蓮さんという方に会ってきた話です。

特筆したいことがあります。

この記事、「お茶?まあ好きだけど」なんていう、お茶と付かず離れずな感じの、

『普通の人』に読んでもらいたいのです。

いつもと同じようなことを書くだけかもしれません。

だけど、やっぱり書かなきゃという気持ちから、いまタイピングしています。

蓮さんは人懐っこく、からからとたくさん笑って一緒にいて楽しくなっちゃう人。

冷静さゆえ遠くの目標を見失わず、情熱ゆえ目先の苦労を厭わない人。

多角的に仕事を考え、正面から人と向き合える人。

彼女は滋賀県東近江市で地域おこし協力隊として働いています。

活動拠点は、同市の奥永源寺地域。

期間限定の協力隊任務終了後も、定住を決意している本気の人なんです。

このあたりでできるお茶を、通称「政所(まんどころ)茶」と呼びます。

平安時代、すでに存在していたこの集落において、茶栽培は600年ほど続いています。

応仁の乱のころから、京都でその茶の品質が高く評価されました。

江戸期には煎茶製法の発明とともに政所茶の名声が広く知れ渡り、

知る人ぞ知る銘茶の産地であったのです。

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このあたりの歴史的経緯については、この本に詳しいので是非↓

飯田辰彦「日本茶の『発生』」、鉱脈社、2015年。

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う、うつくしい… それしか口をついて出る言葉がありません…

手前に、ポコポコと植わっているのがお茶。

ずうっと昔のご先祖たちが種から育てて今に伝える遺産。

品種茶とは違って、ひとつひとつ種から育っているので個性がばらばら。

こうしたお茶の樹のことを「在来種」といいます。

300歳を越えるという茶樹も、政所にはあるのです…!

政所茶はほとんどが在来種であり、かつ無農薬を貫いているのです。

肥料は菜種油かすや、落ち葉、ススキなど。

品種茶に転換することもなく、農薬を使わず、化学肥料に頼らない。

昔のスタイルを頑固なまでに守るカッコイイところ。

お茶を仕入れにいって、こんな光景はあまり見ることがありません。

しかしここにも、高齢化の波がやってきています。

そんな地域に彗星のごとく入ってきたのが蓮さん。

彼女は県内でライターとしての仕事をしつつ、各地の農村漁村におもむき

そこで働く人々からの聞き取り活動を行っていました。

そんななかで出会ったのが政所茶。

このお茶が本当においしいことはもちろんのことですが、

彼女は単においしいお茶ゆえに、ここで活動しているのではありません。

その意志は、彼女が中心である任意団体『政所茶縁の会』の趣旨に表れています。

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『政所茶縁の会』は

政所茶を守ってこられた地域の方の想いや誇りを受け止めながら、

未来につなぎ存続させていくためにヒト・モノ・コトの縁を結ぶ任意団体です。

(同会ウェブサイト http://mandocorocha.wpblog.jp/ より)

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政所ではかつて茶工場が7件稼働していたといいますが、

今はJAの加工場と、地域の共同工場がひとつずつあるのみ。

また多くの家庭で林業が主な収入源であることなどもあいまって、

なんとか近隣や親戚たちのために茶をつくっている人々もリタイア寸前の状態。

要するに、茶がなければ食べていけないという状態ではない。

すでに放棄茶園となった場所もちらほら。

奥永源寺の人々の丁寧な管理から放たれた茶園は、

あっというまに荒廃して雑木林のようになってしまいます。

しかしそんな現在でも、家々に茶づくりのプライドが強く残っているそうです。

地域あげての茶生産というよりは、家ごとの「芸術品」の色が強いと蓮さんはいいます。

芸術品としての立ち位置が、政所茶を唯一無二の品質たらしめている理由でもある反面、

地域あげての統一ブランドを確立させるにあたり障壁ともなっているのです。

また「奥永源寺」とひと口にいっても、エリア内には「御池川」と「愛知(えち)川」の2つがあり、

さらにそれぞれの川で形成する谷の東・西でも意識の違いが色濃いのだとか。

そこに蓮さんが入り、存続と継承を目指して動いているのです。

苦労も絶えないだろうと思いますが、蓮さんの笑顔を見ているとその心配が吹き飛びます。

政所茶縁の会の活動は確実に歩を進めています。

地域の高校生・大学生を呼び込んでのお茶づくりプログラムの実践や

空き物件を利用したカフェスペース運営、それに企業とのタイアップ。

地域のベテランたちも彼女の活躍に一目置いているのが、

短い滞在時間のなかでもわかりました。

「おーい、蓮ちゃん!」と、何度呼び止められていたことか。

彼女がいることで、何かが確実に動きはじめていることが感じられる一日でした。

ここは蓮さんが借り受けて耕作している茶畑。

すうっと風が抜けていく見晴らしのよい土地で、まわりには何もありません。

ここは2014年春から無施肥。育つのは茶樹にまかせて、最低限の管理だけを行っています。

「お茶はいま何をしてほしいかって、声を聴いている」と蓮さん。

ちょうど茶の花が咲いて、ハチが飛び回っていましたよ。

「茶の花を咲かすのは怠けの証拠」(茶の花を咲かすほどに、

刈り落としなどせず放置している)という人もいる中、蓮さんの感覚は正しいと私は思いました。

着花により茶樹は消耗するため、収量バランスも考えなければならない一方、

茶樹が生態系の一部として山に馴染む光景は、やっぱり「美しい」としか言えないからです。

お茶の成長は人のためならず。おこぼれをいただく、という感じでしょうか…

そんな悠長なことを!と生産者の方に怒られるかもしれません。

蓮さん、僕たちのために畑からむかごを手いっぱいに採ってきてくれました。

その姿、畑に遊ぶ子どものような無邪気さで…

さながら蓮さんと畑が友だちであるかのような光景。

(むかご、美味しいですよ。生でもいけるんだなーと知りました。)

いつものように長くなってしまいましたが、言いたいことはコレです。

「感謝して、いただこう」

お茶は私たちの口に入るまでに関わる人が多いので、

「だれかが作ってくれたものである」ことを忘れがち。

いつだって当たり前のように日本茶を飲みたいけれど、

作ってくれる人たちが並大抵ではない努力をしていることを心に留めて、

きょうもお茶をいただきます。

それはほかのお茶でもそうだし、極端にいえばペットボトルのお茶だってそう。

姿が見えにくいし、アプローチは全く違うけれど、誰かが必死こいてつくったものなのだから。

米も、野菜も、肉も、豆も、海藻も、魚も、お酒も。

ぜんぶぜんぶ、「ありがとう。いただきます」。

もし蓮さんをはじめとする政所茶の営みに関心のある方は、

ぜひこちらをご覧ください。

そしてぜひ、彼女の活躍を、できる形で後押ししてほしいのです。

◎政所茶縁の会 http://mandocorocha.wpblog.jp/

 イベント情報や体験プログラムなどの案内です。

 お茶を飲むだけではわからない地域の営みに触れるチャンス。

◎政所茶縁の会 Facebook https://www.facebook.com/mandocorocha/

 タイムリーな情報更新はこちら。「いいね!」しておこう。

◎政所茶縁の会 オンラインショップ https://mandocorocha.theshop.jp/

 やっぱり飲んでみたいですよね。こちらから購入できます。

 政所のお茶は、「茶を通じて山を味わう」という感じ。この土地だから、この人たちだから、

 この香味が出るんだろうなあ…という静かな力強さを感じます。めっちゃうまい。

 ちなみに、にほんちゃギャラリーおかむらも、蓮さんのお茶を出先で販売しますよ!

こちらは蓮さんがつくっている自然栽培茶。無農薬・無施肥。

つまりどんな味わい?という方は、とにかくお試しを。わたしも販売しています。

こちら、政所茶の名物。平番茶。

春(新茶前)や夏(新茶後)に茶葉を刈り取って、専用の桶で蒸す。

軸を取り除いて乾燥させたもの。

スッキリの極致。

番茶がお好きな方に、おすすめ。体にすうっと落ちていきます。

これも販売します。

以上、政所リポートでした。書ききれない!

これからも私はことあるごとに、この土地を訪ねるでしょう。

私は私の出来ることを、やってみます。さあ、あなたは?

#政所